緩和の方法
街着には、適切なヌケ感(だらしなさ)が必要です。
白黒スーツスタイルではハイコントラスト過ぎる、緊張感がありすぎる、こなれ感がない。
ゆえに、本来アイテムのいくつかに代用を行い、カジュアルダウン(フォーマルを街着に落としていく)します。
街着とは、着崩しの理論なのです。
具体的には以下の手法があります。
素材の代用(ブロードをオックスフォードに)
形の代用(スラックスをワイドに)
明度の代用(黒をグレーに)
彩度の代用(黒をネイビーに)
これらで強調と緩和のコントラストを図っていくのです。
例えば同じように、
素材の代用でコントラストを作る場合は、全身ウールのスーツの中にナイロンのアウターを羽織ることができます。
シルエットでコントラストを作る場合は、本来シルエットであるIラインを基準に、上を大型化させたYライン、下を大型化させたAライン、上下を大型化させ先端のみを絞るOライン(コクーンシルエット)を描くことができます。
明度であれば真っ黒の中にライトグレーを指すことができます。
彩度であればグレーの中に色を差すことができます。
このうち、色彩に関してはすでに白黒スーツ時点でコントラストが成されており、それが禁欲的なフォーマルの唯一のアイポイントとなっています。
着こなしを考えるとき、例えばワイドジーンズは本来のスタイルから4ポイントの代用を行っています。
素材がウールからデニムへ。
彩度、明度が黒から青へ。
形がスリムからワイドへ。
コーディネート全体を分解したとき、何ポイントの代用を行うのがおしゃれなのかを考えるべきです。
例えば10ポイントの代用を行ってみましょう。
ネイビーのマウンテンパーカー4pt(黒ジャケットから素材、明度、彩度、形を代用)
白シャツ0pt
ワイドジーンズ4pt
グレーのブーツ2pt(黒革靴から明度、形を代用)
ボトムがワイドなのでトップスはタイトなAラインシルエットです。
これで十分に街着として成立するのです。
20や30ポイントといった緩和を行うべきではありません。
あなたのコーディネートは白黒スーツから何ポイントの緩和を行っていますか?
ワイドパンツだけど黒だから緊張感がある?
いや、ありません。
ワイドパンツだけど黒だから子供っぽい着こなしをキメる効果がある?
いや、ありません。
キメ感があるように見えるスキニーデニムだって、明度彩度素材の3ポイントもの緩和です。
全ての街着は、フォーマルからの緩和アイテムです。
メンズの本来スタイル(白黒スーツ)から、あくまで緩和を行っているのです。
アイテムを並べて、そこから着こなしを考えるものではありません。
白黒スーツスタイルから、何で何ポイントの緩和を行ったのか、何でコントラストをつけアイポイントをいくつ作ったのか。
常に基本に立ち返り着こなしを組み上げてください。